PDCAサイクルは、もはや古い?!変化の激しい現代において、その有効性に疑問を持つ声も少なくありません。
本記事では、PDCAサイクルが古いと言われる主な理由と、その代替として注目されている「OODAループ」との違いについて、わかりやすく解説していきます。
PDCAサイクルとは
PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つのプロセスを繰り返すことで、業務の効率化や目標達成を図るためのマネジメント手法のことです。
それぞれのプロセスは循環しており、Actionで得られた改善点を次のPlanに反映させることで、継続的な改善を実現します。
PDCAサイクルが古いと言われる理由
近年、PDCAサイクルが「古い」と言われる背景には、現代社会の急速な変化と複雑化があります。従来のPDCAサイクルは、安定した環境下で長期的な計画に基づいて実行することを前提としていましたが、現代のように変化の激しい環境では、その前提が崩れやすくなっています。
ただし、PDCAサイクルは、安定した環境や長期的な業務改善には非常に有効です。新しいフレームワークや手法と組み合わせて活用すれば、現在のビジネス課題にも適応することができます。
以下は、PDCAサイクルを運用する際の各フェーズにおける注意点をまとめたものです。適切に活用できるよう、注意点をきちんと把握しておきましょう!
フェーズ | 内容 | 注意点 |
Plan (計画) | 目標設定、計画立案 | 目標は具体的かつ測定可能にする。計画は現実的で実行可能なものにする。 |
Do (実行) | 計画に基づいた実行 | 計画通りに実行すること。問題が発生した場合は記録しておく。 |
Check (評価) | 結果の評価、分析 | 設定した指標に基づいて客観的に評価する。 |
Action (改善) | 改善策の実施 | Checkで得られた結果に基づいて、効果的な改善策を実施する。 |
PDCAサイクルの具体例
PDCAサイクルは、ビジネスの様々な場面で活用することができます。
ここでは「オンライン広告キャンペーンの最適化」を例に、PDCAサイクルの各ステップを具体的に見ていきましょう。
例:オンライン広告キャンペーンの最適化
オンライン広告キャンペーンでは、費用対効果を最大化するために、継続的な改善が必要になります。
Plan(計画)
まず、キャンペーンの目標を設定します。次に、ターゲット層の選定、広告クリエイティブの作成、予算の設定など、目標を達成するための戦略を立てます。
この段階では、Planにおいて、具体的な数値目標を設定することが重要です。また、目標達成のための具体的な施策も計画します。
項目 | 内容 |
目標 | 新規顧客獲得数100件増加 |
ターゲット層 | 20代女性、ファッションに興味関心のある層 |
広告プラットフォーム | Google広告、Instagram広告 |
予算 | 月額10万円 |
KPI | クリック率、コンバージョン率、顧客獲得単価 |
Do(実行)
計画に基づいて、実際に広告を配信します。広告プラットフォームの設定、制作した広告の入稿、ターゲティング設定などを行います。
ここでは、計画通りに実行することが重要です。
Check(評価)
広告配信後、結果を分析します。指標を計測し、目標達成度合いを評価します。KPIなどを分析し、目標値に対してどの程度効果が出ているかを評価します。
KPI | 目標値 | 実績値 | 評価 |
クリック率 | 5% | 4% | 未達成 |
コンバージョン率 | 3% | 2% | 未達成 |
顧客獲得単価 | 1,000円 | 1,200円 | 未達成 |
Action(改善)
評価結果に基づいて、改善策を検討し、実行します。ここでは、Checkで明らかになった問題点や課題を解決するための対策を行います。
そして、改善策を実施した後、再度PDCAサイクルを回して効果検証を行います。このとき、データに基づいた改善を行うことが重要です。一度のPDCAサイクルで完璧な結果を出すことは難しいため、継続的に改善を繰り返す必要があります。
OODAループとは
OODAループとは、Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Action(行動)の4つのプロセスを繰り返す意思決定モデルです。
迅速な意思決定と行動を繰り返すことで、常に状況を把握し、最適な行動を取り続けることが出来るようになります。
OODAループの具体例
OODAループの各ステップを具体的に見ていきましょう。
例:ECサイトの売り上げ改善プロジェクト
Observe(観察)
まずは現状を把握するために、多角的な視点で様々なデータを収集して観察します。これらのデータを集めることで、問題点や改善のヒントが見えてきます。
Orient(状況判断)
集めたデータに基づいて、現状を分析し、問題点や課題を明確にします。分析結果を踏まえ、現状を正しく理解し、どのような対策が必要かを判断します。
Decide(意思決定)
状況判断に基づいて、具体的な対策を決定します。
この段階では、各対策の実施にかかる費用対効果やリスクを考慮し、優先順位をつけて決定することが重要です。
また、決定した対策を具体的にどのように実行するか、誰が責任者となるか、いつまでに完了させるかなどを明確にしておく必要があります。
Action(行動)
決定した対策を具体的に実行します。
ここでは迅速に行動することが重要になります。行動の結果を常に監視し、必要に応じて軌道修正を行いましょう。
OODAループも、一度サイクルを回したら終わりではなく、状況の変化に応じて繰り返しサイクルを回すことで、継続的な改善を実現します。
ステップ | 具体的な行動 | 期待される効果 |
Observe (観察) | Google Analyticsでアクセス状況、顧客行動を分析、競合サイト調査 | 現状の課題と機会の把握 |
Orient (状況判断) | 内部環境と外部環境のプラス面・マイナス面を分析するSWOT(スウォット)分析で、現状を評価、改善すべきポイントを特定 | 課題の優先順位付けと解決策を検討することができる |
Decide (意思決定) | UI/UX改善、広告キャンペーン実施、新商品開発などを決定 | 具体的な改善策を実施する |
Action (行動) | 決定した対策を実行、結果をモニタリングして軌道修正 | 売り上げの向上や顧客満足度の向上 |
このようにOODAループを適用することで、市場の変化に迅速に対応し、継続的な改善を実現することができます。
PDCAサイクルとOODAループの違い
どちらも目標達成や問題解決のためのフレームワークですが、そのアプローチや適用分野に違いがあります。
そのため、それぞれの特性を理解し、状況に応じて最適なフレームワークを選択することが重要になります。以下では、それぞれの違いを解説していきます。
スピード感の違い
最も大きな違いは「スピード感」です。PDCAサイクルは、計画的に着実に進める手法であり、1サイクルが数週間から数ヶ月、場合によっては数年かかるなど、比較的長い時間を要します。
これは、計画段階で綿密な分析や準備を行ったり、実行後の評価にも時間を要したりするためです。
一方、OODAループは、変化の激しい状況下での迅速な意思決定と行動を重視しており、1サイクルが数秒から数分、長くても数時間で完結することもあるなど、非常に短いのが特徴です。
これは、状況を素早く観察し、直感的な判断に基づいて行動するためです。
思考のプロセスの違い
PDCAサイクルは、論理的な思考に基づいた計画的なアプローチを重視する一方、OODAループは、経験や直感に基づいた迅速な意思決定を重視します。
項目 | PDCAサイクル | OODAループ |
思考プロセス | 論理的・分析的 | 直感的・経験的 |
計画性 | 重視 | 軽視 |
スピード | 遅い | 速い |
適用分野 | 安定した環境 | 変化の激しい環境 |
適用分野の違い
PDCAサイクルは、比較的安定した環境下での継続的な改善活動に適しているため、一定のルーティンワークを改善していく場合に有効であると言えます。
一方、OODAループは、変化の激しい環境下での迅速な対応が必要な場合に適しています。そのため、状況の変化に柔軟に対応していく必要がある場合に有効になります。
メリット・デメリットと活用状況
PDCAサイクルとOODAループのメリット・デメリットと、それぞれ活用に適している状 況を以下の表にまとめました。それぞれの特性を理解し、適切なフレームワークを選択するようにしましょう!
フレームワーク | メリット | デメリット | 適している状況 |
PDCAサイクル | 計画的な進捗管理、データに基づいた改善ができる | 変化への対応の遅さ、複雑な問題への対応の難しさがある | 安定した環境、長期的な目標達成 |
OODAループ | 迅速な意思決定、変化への柔軟な対応ができる | 計画性の欠如、衝動的な行動のリスクがある | 変化の激しい環境、迅速な対応が必要な状況 |
PDCAサイクルとOODAループ、どちらを選ぶべき?
PDCAサイクルとOODAループ、それぞれのフレームワークには得意・不得意があり、直面する状況や課題によって最適な選択は変わります。
状況に合わせたフレームワークの選択
それぞれの特性を把握し、現状を正しく認識することが、最適なフレームワークを選択する上で重要になります。
PDCAサイクルが適している状況
- 長期的な目標達成を目指す場合
- 安定した環境で、計画的に進められるプロジェクト
- データに基づいた分析と改善が重視される場合
- 例:新商品の開発、年間の売上目標達成
OODAループが適している状況
- 変化の激しい市場への対応
- 迅速な意思決定と行動が求められる場合
- 競争が激しく、先手を打つ必要がある場合
- 例:マーケティングキャンペーンのリアルタイム調整、緊急時の危機管理
PDCAサイクルとOODAループの併用
PDCAサイクルとOODAループは、必ずしも二者択一の関係にあるわけではありません。状況によっては、両者を組み合わせることで、より効果的な成果を上げることができます。
また、PDCAサイクルを回すスピードをOODAループの思考で加速させるといった活用も可能です。
まとめ
この記事では、「シンギ」でも活用している「PDCAサイクル」と、その代替えとして注目されている「OODAループ」について、それぞれの概要や具体例、そして両者の違いを解説しました。
「PDCAサイクル」は一連の流れを繰り返すことで、業務やプロジェクトの改善を図る手法である一方、「OODAループ」はサイクルを高速で回し続けることで、変化への迅速な対応を可能にする手法です。
「PDCAサイクル」は古い手法というわけではなく、状況や課題によって「OODAループ」または「PDCAサイクル」のどちらか最適な選択を行うことが重要になります。それぞれの特性を理解し、状況によって使い分けることで、より効果的な業務改善やプロジェクトを推進できるようにしていきましょう!
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