
Webサイトへのアクセス数を増やしたいけれど、「ビッグキーワード」「ミドルキーワード」「スモールキーワード」のどれをどのように活用すれば良いのだろう…と、悩むWeb担当者様は多いのではないでしょうか。
そこで、複数のキーワードで流入数を増やすロングテールキーワードを活用した「ロングテールSEO」について解説します。
ロングテールSEOの基礎知識や「ビッグキーワード」「ミドルキーワード」「スモールキーワード」との違いや関係性、ロングテールSEO対策方法などを詳しく紹介します。
ロングテールSEOとは?
ロングテールSEOとは、検索ボリュームは少ないものの、複数のキーワードでユーザーの具体的なニーズを捉えてWebサイトへのアクセス増加を目指すSEO戦略のことです。
ニッチなキーワードを狙うことで、競合が少ないぶん上位表示を狙いやすく、コンバージョン率(CVR)の高いアクセスを集めることが期待できます。
検索するユーザーの目的が明確なため、Webサイトに訪れたユーザーが求める情報と合致しやすく、結果としてCVRにつながりやすいという特徴があります。
ロングテールSEOで重要な“ロングテールキーワード”とは?
ロングテールキーワードとは、3語以上で構成される、検索クエリとして使用される比較的長いキーワードのことです。競合が少ないため、ビッグキーワードでの上位表示が難しい場合でも比較的狙いやすいのが特徴です。
例えば、「英会話」のような1語のキーワードはビッグキーワードと呼ばれ、検索ボリュームは膨大ですが、ユーザーが具体的に何をしたいのかは不明瞭です。
一方で、「英会話 社会人 初心者 勉強続かない」のようなロングテールキーワードは、検索ボリュームは少ないものの、英会話を始めたい社会人初心者が続けられる現実的な方法というユーザーのニーズを的確に捉えています。
目安となる検索ボリューム
ロングテールキーワードの検索ボリュームは、一般的に1ヶ月あたり100〜1,000程度とされています。ただし、明確な基準はなく、業界や市場規模によっても異なります。
検索ボリュームの調査には、GoogleキーワードプランナーやSEMrushなどのツールを活用することで、ターゲットとするロングテールキーワードの検索ボリュームや関連キーワードを把握し、効果的なSEO戦略を立てることができます。
ミドルキーワードとスモールキーワードの違いと関係性
キーワードは検索ボリュームや競合性などを基準に「ビッグキーワード」「ミドルキーワード」「スモールキーワード」といった具合に分類されます。
これらのキーワードとロングテールキーワードは混同されがちですが、実は全く異なる構造で分類されています。
ロングテールキーワードは“単語数”で分類される
ビッグ・ミドル・スモールキーワードは“検索ボリュームの大小を基準”に分類されます。検索ボリュームが大きいキーワードほど「ビッグキーワード」に分類され、反対に検索ボリュームが小さいキーワードほど「スモールキーワード」に、「ミドルキーワード」はその中間に分類されます。
一方、ロングテールキーワードは、キーワードを構成する“単語数”によって分類されます。3語以上で構成されるキーワードは、検索ボリュームの大小に関わらず「ロングテールキーワード」に分類されます。
【キーワード別・分類基準と検索クエリの違い】
分類 | 基準 | 例 |
ビッグキーワード | 検索ボリューム:大 | 「旅行」「保険」「ダイエット」 |
ミドルキーワード | 検索ボリューム:中 | 「海外旅行」「生命保険」「ダイエット方法」 |
スモールキーワード | 検索ボリューム:小 | 「ハワイ旅行」「学資保険」「糖質制限ダイエット」 |
ロングテールキーワード | 単語数:3語以上 | 「東京 美味しい ラーメン屋 深夜」「子供 自転車 ヘルメット 選び方」 |

キーワードを組み合わせるとSEOに効果的
ロングテールキーワードとビッグ・ミドル・スモールキーワードは異なる分類軸ですが、SEO的には組み合わせて活用することで効果を高めることができます。
例えば、ビッグキーワードの「旅行」を軸に「海外旅行」などのミドルキーワードや、「ハワイ旅行 おすすめ ホテル 家族連れ」といったロングテールキーワードも活用することで、幅広いユーザー層にアプローチできます。
このように、具体的な検索意図を持つロングテールキーワードはCVRの向上にも効果的です。検索ボリュームや競合性をツールで確認しながら、効果的なキーワードを選定しましょう。
※ビッグ・ミドル・スモールキーワードについて詳しく知りたい方は「ビッグキーワードで上位表示する方法|SEO戦略を解説」をご覧ください。
ロングテールSEOのメリット・デメリット
ロングテールSEOは、ビッグキーワードやミドルキーワードに比べて検索ボリュームは少ないですが、Webサイトへの集客やCVRに大きな効果をもたらす可能性を秘めています。しかし、その一方で、いくつかのデメリットも存在します。
ここでは、ロングテールSEOのメリットとデメリットを解説すると共に効果的なSEO戦略を立てるためのヒントを紹介します。
メリット
ロングテールSEOには、大きく分けて以下のメリットがあります。
メリット | 詳細 |
CVRの向上 | ロングテールキーワードで検索するユーザーは、具体的なニーズや問題意識を持っているため、購買意欲が高い傾向があります。上位表示できればCVRの向上が期待できます。 例:「東京 フレンチ 記念日 ディナー」で検索するユーザーは“記念日にフレンチレストランを探している”という明確な目的があり、該当コンテンツがあれば予約に繋がる可能性が高くなります。 |
購入検討層を直接狙える | ロングテール検索は、すでに比較・検討フェーズにあるユーザーが多く、購買までの距離が短いのが特徴です。 例:「一眼レフカメラ 初心者 おすすめ」で検索する人は、すでに商品に興味があるため、選び方や導線次第で購入に至る可能性が高いといえます。 |
競合が少なく上位表示されやすい | ビッグキーワードと比べて、ロングテールキーワードは検索数が少ないため、大手との競争が少なくSEO対策の難易度が下がります。 例:「大阪 ランチ 女子会 個室 安い」などのニッチなキーワードは、特化記事を用意することで比較的簡単に上位表示が狙えます。 |
検索意図に沿ったコンテンツが設計しやすい | ロングテールキーワードはユーザーの検索意図が明確なため、ピンポイントでニーズに応えるコンテンツを作成しやすく、ユーザー満足度やサイトの信頼性も向上します。 例:「犬 しつけ トイレ」で検索するユーザーは、「トイレトレーニングの方法を知りたい」と明確な目的を持っているため、的確な解説記事を用意すれば高評価につながります。 |
オーガニック検索流入の積み上げができる | ロングテールキーワードは1つ1つの検索ボリュームは小さいですが、数多く狙うことでトータルのアクセスを大きく増やすことが可能です。 例:「英会話 初心者 社会人 続け方」や「英会話 50代 独学 アプリ」など、複数のニッチキーワードで記事を構成し、広く検索流入を獲得する戦略が効果的です。 |
デメリット
ロングテールSEOには、メリットだけでなく、以下のようなデメリットも存在します。
デメリット | 詳細 |
検索ボリュームが少ない | ロングテールキーワードは検索ボリュームが少ないため、大きなトラフィックを獲得することは難しいです。しかし、複数のロングテールキーワードで上位表示を獲得することで、このデメリットを補うことができます。 |
コンテンツ作成の手間がかかる | ロングテールキーワードは数多く存在するため、それぞれのキーワードに最適化されたコンテンツを作成するには、相応の手間と時間が必要になります。効率的なコンテンツ作成のための戦略を立てることが重要です。 |
効果測定が複雑になる場合がある | ロングテールキーワードは数が多いため、効果測定が複雑になる場合があります。適切なツールを用いて、各キーワードの流入数やCVRなどを分析し、改善策を検討していく必要があります。 |
ロングテールSEOの対策方法とポイント
ロングテールSEOの対策方法は、ロングテールキーワードをメインにした一般的なSEO対策と同じ手法になります。
ユーザーの検索意図を深掘りする
ポイント
検索キーワードに込められた「誰が」「何を」「なぜ知りたいのか」を読み解き、検索者 のニーズに合ったコンテンツを作成します。つまり、上位表示を目指すにはユーザーの検索意図を汲み取った質の高いコンテンツを提供することが重要になります。
例:「英会話 社会人 初心者 勉強続かない」
→ 社会人が英会話学習を続けられない原因・解決法・おすすめツール・時間の確保術 などを含めたコンテンツを作成する
1記事1キーワード設計で記事を量産して内部リンクでつなぐ
ポイント
- 1つのロングテールキーワードに対して、1記事で1回答を基本に設計する
- 記事同士をカテゴリやテーマ別に内部リンクで繋ぎ、SEO評価をドメイン全体に分散させる
効果:ニッチキーワードの「点」が、内部リンクで「線」となり、全体のSEO評価が底上げされる
ロングテールキーワード選定の具体的な手順4ステップ
ロングテールキーワードを選定する際、確実な成果を得るためには、具体的な手順に従って、戦略的にキーワードを選定していく必要があります。ここでは、その具体的な手順を解説します。
①キーワードリサーチツールを活用する
ロングテールキーワードを見つけるための第一歩は、キーワードリサーチツールを活用して、ユーザーがどのようなキーワードで検索を行っているのか、検索ボリュームはどれくらいなのかといった情報をチェックしましょう。
無料・有料ツール含め様々なものがありますが、代表的なツールをいくつかご紹介します。
Googleキーワードプランナー
Googleキーワードプランナーは、Google広告を利用する際にキーワード調査を行うための無料ツールですが、SEO対策にも非常に役立ちます。キーワードを入力すると関連するキーワード候補や、それぞれのキーワードの月間検索ボリューム、競合性などを確認できます。
ラッコキーワード
ラッコキーワードは、無料で利用できるキーワードリサーチツールです。指定したキーワードに関連するキーワードをサジェストキーワードや共起語など、様々な切り口で提案してくれます。
また、キーワードの検索ボリュームも確認でき、キーワードプランナーでは得られない具体的な数値を確認できる点がメリットです。
Ubersuggest
Ubersuggestは、キーワード調査、競合分析、サイト監査など、SEOに必要な機能を網羅したツールです。無料版でもキーワード候補の確認や検索ボリュームの把握などが行えますが、より詳細なデータや機能を利用するには有料版への登録が必要です。キーワード候補の提案数や競合分析の精度が高いため、本格的なSEO対策を行う際に役立ちます。
ツール名 | 料金 | 主な機能 | メリット | デメリット |
Googleキーワードプランナー | 無料 | 検索ボリューム、競合性、関連キーワード調査 | Googleの公式ツールなので信頼性が高い | Google広告利用を前提としたデータのため、SEOに特化した情報ではない |
ラッコキーワード | 無料 | サジェストキーワード、関連キーワード取得、質問キーワード取得 | 手軽に利用できる、ユーザーの検索意図を把握しやすい | データの網羅性が有料ツールに比べて低い |
Ubersuggest | 無料版 有料版あり | キーワードリサーチ、競合分析、サイト監査、コンテンツアイデア提案、バックリンク分析 | SEO難易度が数値で表示される、競合分析機能が充実 | 無料版では利用できる機能が制限される |
②関連キーワードを抽出する
キーワードリサーチツールで得られたキーワードを元に関連キーワードを抽出していきます。例えば、「仏壇 お供え物」というキーワードで検索しているユーザーは「仏壇 お供え物 意味」「仏壇 お供え物 毎日」「仏壇 お供え物 何を供える」といった具体的な情報を探している可能性があります。
これらの関連キーワードを抽出することで、ユーザーの検索意図をより深く理解し、ニーズに合ったコンテンツを作成することができます。
【関連キーワードを抽出方法】
- Googleのサジェスト機能を活用する:検索窓にキーワードを入力すると、関連するキーワードがサジェストされます。
- 関連キーワード取得ツールを活用する:ラッコキーワードなどのツールは、関連キーワードを自動で抽出する機能を備えています。
- 競合サイトを分析する:競合サイトがどのようなキーワードで上位表示されているかを分析することで、関連キーワードのヒントを得ることができます。
例えば、Googleで「韓国旅行」と検索すると最下部にユーザーのニーズを反映したキーワードが表示されます。
これらのキーワードの検索ボリュームをキーワードプランナーなどのツールを活用して調べることで、ロングテールキーワードを探すことができます。
また、ラッコキーワードに「韓国旅行」と入力してサジェストキーワードを洗い出し、検索ボリュームを調べることもできます。検索ボリュームが1000以下のロングテールキーワードを探しましょう。
③競合サイトのキーワード分析
競合サイトがどのようなキーワードで上位表示されているかを分析することはSEO対策において重要です。競合サイトがターゲットとしているキーワードを把握することで、キーワード戦略を最適に行うことができます。
競合サイトのキーワード分析を行うには、以下のツールが役立ちます。
ツール名 | 概要 |
Ahrefs | 競合サイトのオーガニック検索キーワード、被リンクなどを分析できるツール。 |
SEMrush | キーワード調査、競合分析、サイト監査など、SEOに必要な機能を網羅したツール。 |
SimilarWeb | 競合サイトのトラフィックソース、キーワードランキングなどを分析できるツール。 |
これらのツールで競合サイトがどのようなキーワードで上位表示されているか、どのキーワードでトラフィックを獲得しているかを把握しましょう。その情報を元に、キーワード戦略を修正・改善していくことで、より効果的なSEO対策を行うことができます。
④テクニカルSEOでUXと検索評価を向上させる
コンテンツの質だけでなく、Webサイトの技術的な最適化もロングテールSEOの成果を高める重要なポイントになります。
対策項目 | 内容 | 効果 |
ページ速度の最適化 | 画像圧縮、キャッシュ利用、不要なコードの削除など | 表示速度向上によりユーザー満足度が上がり、Googleの評価にもプラス |
モバイルフレンドリー | レスポンシブ対応、モバイルファーストインデックスの実装 | スマホでの閲覧体験が向上し、モバイル検索での上位表示に有利 |
構造化データマークアップ | Schema.orgを活用して構造化マークアップを行い、検索エンジンにコンテンツの意味を伝える | リッチリザルト(FAQ表示など)出現の可能性が高まりCTRが改善 |
このようなテクニカルSEO対策を土台として整えることで、ロングテールSEO対策の効果が、より発揮されやすくなります。
※コンテンツSEO・テクニカルSEOについて詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
「コンテンツSEOとテクニカルSEOを連携させることで得られる【相乗効果の事例】とは?」
「コンテンツSEOとテクニカルSEOの具体的な活用事例を紹介!」
まとめ
この記事では、ロングテールSEOの意味やメリット・デメリットから具体的な対策方法まで解説しました。ビッグキーワード・ミドルキーワード・スモールキーワードは“検索ボリュームの大小を基準”に分類されることに対し、「ロングテールキーワード」はキーワードボリュームに関わらず、キーワードを構成する“単語数”で分類されることを理解していただけたでしょうか。
また、それぞれを組み合わせて活用することで、より効果的なSEO対策を行うことができます。しかし、ロングテールキーワードは3語以上で構成されるため、ユーザーのニーズを探し出すためにはツールの活用や更新頻度など時間的なコストが必須となります。
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