
「ビッグデータ」って聞くと難しそう…と感じませんか?実は、SuicaやAmazon、Netflixなど、私たちの身近な生活に深く関わっているのです。
この記事では、ビッグデータが身近なところでどのように活用されているのか、具体的な例を挙げてわかりやすく解説します。
ビッグデータとは?誰でもわかるシンプルな解説
ビッグデータとは、簡単に言うと「非常に大量で複雑なデータ」のことです。従来のデータベース管理ツールでは扱うのが難しいほどの規模と複雑さを持つデータを指します。
単にデータ量が多いだけでなく、データの種類も多様で、例えば数値、テキスト、画像、動画、位置情報などが含まれます。
これらのデータは、様々な情報源から集められます。
例えば、インターネット上の検索履歴、SNSへの投稿、ECサイトでの購買履歴、GPSによる位置情報、センサーデータなどが挙げられます。
これらのデータを分析することで、私たちの生活に役立つ様々な知見を得ることができます。
ビッグデータを構成する3つのV
ビッグデータの特徴は、一般的に「Volume(量)」「Variety(種類)」「Velocity(速度)」の「3つのV」で表現されます。
名称 | 説明 |
Volume(量) | データの量が多く、テラバイトやペタバイト級の規模になる。 |
Variety(種類) | 数値、テキスト、画像、動画など、様々な種類のデータが含まれる。 |
Velocity(速度) | データが生成・収集される速度が速い。リアルタイムで処理される場合もある。 |
近年では、これらの3つのVに加えて「Veracity(正確性)」「Value(価値)」といった要素も重要視されています。大量のデータを集めるだけでは意味がなく、正確で価値のあるデータでなければなりません。
ビッグデータの活用例としては、ビジネスの意思決定支援、新製品開発、顧客サービス向上、社会問題の解決など、多岐にわたります。
ビッグデータは、現代社会において非常に重要な役割を担っており、今後ますますその重要性が増していくと考えられています。
ビッグデータの身近な例でわかるその“影響力”
ビッグデータは、私たちの日常生活に深く浸透し、様々なサービスの向上や社会課題の解決に役立っています。
ここでは、身近な例を通して、ビッグデータが持つ影響力について見ていきましょう。
交通系ICカード(Suicaなど)のビッグデータ活用
Suicaなどの交通系ICカードは、単に乗車記録を残すだけでなく、ビッグデータとして活用されています。
Suicaの利用履歴からわかること
Suicaの利用履歴を分析することで、駅ごとの乗降客数や時間帯別の混雑状況などがわかります。これらのデータは、駅構内の設備改善や列車の運行計画、ダイヤ改正などに役立てられています。
例えば、混雑する時間帯に増便したり、駅構内の人の流れをスムーズにするための誘導表示を設置したりなど、より快適な移動体験を提供するために活用されています。
また、災害時における避難経路の検討や駅周辺の商業施設におけるマーケティング戦略にも活用されるなど、その応用範囲は広がっています。
参考:JR東日本 Suicaのビッグデータ活用
ECサイト(Amazonなど)のビッグデータ活用
AmazonなどのECサイトでは、ビッグデータを活用して、顧客一人ひとりに最適な商品やサービスを提供しています。
Amazonのおすすめ機能の仕組み
Amazonのおすすめ機能は、顧客の購買履歴、閲覧履歴、評価、カートに入れた商品など、様々なデータを分析することで実現されています。
例えば、過去に購入した商品と関連性の高い商品や、同じような属性の顧客が購入した商品などをレコメンドすることで、顧客の購買意欲を高めています。また、これらのデータは商品の仕入れや在庫管理、価格設定などにも活用されています。
参考:Amazonのおすすめ機能について
動画配信サービス(Netflixなど)のビッグデータ活用
Netflixなどの動画配信サービスもビッグデータを活用して、顧客一人ひとりに最適なコンテンツを提供しています。
Netflixのおすすめ機能の仕組み
Netflixのおすすめ機能は、顧客の視聴履歴、評価、視聴時間、一時停止/早送り/巻き戻しなどの操作履歴など、膨大なデータを分析することで、顧客の好みに合わせた作品をレコメンドしています。さらに、これらのデータは、オリジナルコンテンツの制作にも活用されています。
例えば、視聴者の好みに基づいて、特定のジャンルやテーマの作品を制作することで、顧客の満足度を高めています。
参考:Netflixのレコメンド機能について
データドリブンマーケティングにおけるビッグデータの活用
マーケティング施策の精度を高めるためにも、ビッグデータは欠かせない存在となっています。
購買履歴・Web行動データによる顧客理解の高度化
あるEC企業では、顧客の購買履歴やWebサイト上の行動ログ、閲覧ページ、滞在時間、カート投入状況などのデータを蓄積・分析しています。
そして、顧客の関心傾向や離脱ポイントを可視化し、パーソナライズされた商品レコメンドやタイミングを考慮したメール配信の最適化を実施しています。さらに、機械学習を活用して、リピート購買予測やキャンペーン効果の分析も行い、広告コストの最適化とLTV(顧客生涯価値)の最大化を実現しています。
※ビッグデータの活用については「ペルソナ設定の時代は終わった⁉︎今、マーケターがすべきこととは」もご覧ください。
※「データドリブンマーケティング」の詳細は「データドリブンマーケティング実践ガイド|ペルソナ設定の限界を超えて顧客に深く迫る」をご覧ください。
ビッグデータが私たちの生活を豊かにする事例
ビッグデータは、私たちの生活をより便利で豊かにするために、様々な分野で活用されています。ここでは、その代表的な例をいくつかご紹介しましょう。
需要予測で「食品ロス削減」
小売店や飲食店では、過去の販売データや天候、イベント情報などを分析することで、商品の需要を予測し、最適な仕入れ量を決定することができます。その結果、売れ残りが減り、食品ロスの削減に役立っています。
例えば、コンビニエンスストアでは、曜日や時間帯、気温などのデータに基づいて、おにぎりやお弁当などの需要を予測し、廃棄ロスを最小限に抑える取り組みが行われています。
また、農作物の生産量予測にもビッグデータが活用されており、農林水産省も推進しています。
渋滞予測で「快適なドライブ」
カーナビゲーションシステムや地図アプリでは、リアルタイムの交通情報や過去の渋滞データなどを分析することで、渋滞を予測し、よりスムーズなルートを提案してくれます。これは、移動時間の短縮やストレス軽減につながっています。
また、高速道路の料金所やサービスエリアの混雑状況を予測し、休憩場所の選択や出発時間の調整にも役立っています。
近年では、道路交通情報の通信システムであるVICSの情報に加えて、携帯電話の位置情報なども活用することで、より精度の高い渋滞予測が可能になっています。
災害予測と「対策」
地震や台風などの自然災害の発生を予測し、被害を軽減するためにもビッグデータが活用されています。
気象データや地盤データ、人口分布データなどを分析し、災害発生時のリスクを予測して、避難経路の確保や避難所の設置といった対策を立てることができます。
また、災害発生後の被害状況を迅速に把握し、救助活動や復旧作業に役立てることもできます。例えば、内閣府防災情報のページでは、様々な災害情報が公開されています。
医療分野での活用
医療分野では、患者の病歴、検査データ、遺伝子情報などを分析して、病気の早期発見や個別化医療(パーソナライズド・メディシン)の実現に役立てられています。
また、新薬の開発や治療法の改善にもビッグデータが活用されています。
例えば、AMED(国立研究開発法人 日本医療研究開発機構)は、医療分野の研究開発を推進しており、ビッグデータの活用も重要なテーマとなっています。
スマートシティの実現
都市全体のエネルギー消費量、交通量、人口密度などをリアルタイムで監視し、都市機能の最適化を図る「スマートシティ構想」にも、ビッグデータが欠かせません。
例えば、信号制御を最適にすることで交通渋滞を緩和したり、エネルギー消費量の削減や廃棄物処理の効率化を行ったりするなど、様々な分野で活用が期待されています。
ビッグデータの活用における注意点
ビッグデータの活用は、私たちの生活を豊かにする可能性を秘めている一方で、いくつかの注意点も存在します。特に個人情報保護やデータの正確性については、適切な対策を講じる必要があります。
個人情報保護の重要性
ビッグデータは個人の行動や嗜好に関する膨大な情報を含んでいます。そのため、データの取り扱いには細心の注意が必要になります。個人情報保護法を遵守することはもちろん、匿名化やアクセス制限などの技術的な対策も重要です。
また、データの利用目的を明確にし、利用者の同意を得ることも欠かせません。
例えば、位置情報データの活用は、個人の行動履歴を詳細に把握することを可能にするため、利便性の向上につながる一方で、プライバシー侵害の懸念も生じさせます。
近年、プライバシー保護の重要性が高まる中で、「プライバシーバイデザイン」という考え方が注目されています。これは、システムやサービスの設計段階からプライバシー保護を考慮するという考え方です。
ビッグデータの活用においても「プライバシーバイデザイン」の考え方を導入することで、より安全なデータ活用が可能になります。
参考:個人情報保護委員会
データの正確性と信頼性
ビッグデータ分析の結果は、データの正確性と信頼性に大きく依存します。もしデータに誤りや偏りがあれば、分析結果も信頼できないものとなってしまいます。データの収集方法や分析手法を適切に選択し、データの品質を確保する必要があります。
また、分析結果を鵜呑みにせず、常に批判的な視点を持つことも大切です。
例えば、ECサイトにおける商品レコメンド機能は、過去の購入履歴などのデータに基づいて商品を推薦します。しかし、データに偏りがある場合、特定の商品ばかりが推薦されるといった問題が発生する場合があります。
そのため、データの偏りを修正するなどの対策が必要です。また、AIによる分析においても、学習データの偏りが結果に影響を与える可能性があるため、その正確性と信頼性を確保する必要があります。
注意点 | 対策 |
個人情報の漏洩 | 匿名化、アクセス制限、暗号化 |
データの偏り | データの収集方法の改善、統計的手法による補正 |
ビッグデータの活用は、適切な配慮と対策を行うことで、より安全で効果的なものとなります。個人情報保護とデータの正確性に留意しながら、ビッグデータの利点を最大限に活かしていきましょう。
まとめ
この記事では、ビッグデータが私たちの身近でどのように活用されているのか、具体的な例を通して解説しました。
Suicaなどの交通系ICカードの利用履歴分析、AmazonなどのECサイトにおけるおすすめ機能、Netflixなどの動画配信サービスにおけるパーソナライズされたおすすめ、企業での顧客理解への活用など、普段何気なく利用しているサービスの裏側でビッグデータが活躍されていることがおわかりいただけたかと思います。
今後、ビッグデータの活用範囲はますます広がり、社会やビジネスのあらゆる場面でその価値を発揮していくと考えられます。私たち一人ひとりの生活だけでなく、企業の成長にも大いに役立っていくことでしょう。
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