インターネットといえば、若者が利用しているイメージが強いかもしれませんが、実は若者と同じくらいシニアの方も利用しています。
モバイル社会研究所の2024年度における“シニア世代のスマホ所有率”調査では、60代の9割超、70代の8割超、80代前半の6割超がスマホを所有しており、これは、わかりやすいWebサイトやサービスを制作する人がいてこその結果ともいえるでしょう。
では、シニア世代にも使いやすいWebサイトとはどのようなものなのでしょうか? 今回は、シニアにも子どもにも使いやすい“ユニバーサルデザイン”について解説します。
この記事はこんな人に向いています
この記事では、ユニバーサルデザインを考慮したWebサイトについてお伝えしていきます。
- 仕事で初めて会社のWebサイトを作成することになった人
- 幅広い年代に向けたwebサイトをつくりたい方
- 公共性の高いサービスを扱う企業のwebサイトをつくりたい方
- ユニバーサルデザインの基本を復習したい方
- そもそも、ユニバーサルデザインって何?という方
ユニバーサルデザインとは
ユニバーサルデザインとは「特別な製品や調整無しで、最大限可能な限り、すべての人々に利用しやすい製品、サービス、環境のデザイン」と定義され、下記の7原則が掲げられています。
- どんな人でも公平に使えること
- 使う上での柔軟性があること
- 使い方が簡単で自明であること
- 必要な情報がすぐに分かること
- 簡単なミスが危険につながらないこと
- 身体への過度な負担を必要としないこと
- 利用のための十分な大きさと空間が確保されていること
なぜWebサイトにユニバーサルデザインが必要なのか
前述した通り、シニア世代もほとんどの方がインターネットを利用しています。趣味で利用する場合も多いかと思いますが、生活するうえで欠かせないものになりつつあるというのも事実です。実際にコロナ禍においては、ネットショッピングの機会も増えたという方も多いことでしょう。
また、今までは対面での手続きでよかったものが、インターネットでの手続きに変更されたものもあると思います。 趣味や好みでのショッピングであれば、他のサービスを利用するなどの選択肢もありますが、公共のサービスや代替がないもので「使いづらい」となってしまっては、フラストレーションがたまりますし、それでは済まされない事態となり得るでしょう。
ユニバーサルデザインが必要なWebサイトとは
「完全に趣味などでしか利用されない」「ターゲットが若者だけ」とわかっているようなWebサイトであれば、そこまでユニバーサルデザインを意識しなくてもいいかもしれません。
ただ、ターゲットが全世代のネットショップやサービス、ホームページなどでは配慮が必要になります。利用せざるを得ない公共サービスに至っては、ユニバーサルデザインが意識されてないWebサイトは、本来は論外ですよね。
例えば、シニア世代である親が、一人で北海道へ行ってマラソンのイベントに参加し、観光と食事も楽しんだことをSNSで共有したとします。その際、老眼鏡をかけて、スマホを前後させながら一生懸命に画面を覗きこんでいる姿を容易に想像することができます。
さて、このとき、どれくらいインターネットを利用していたかというとー
- マラソンの申し込み
- 宿泊先の申し込み
- 空港までの交通手段
- 現地での交通手段
- 観光地の検索
- SNSにアップ
ざっと、少なくともこれぐらいは利用することが想像できます。では、それぞれにユニバーサルデザインがどのくらい必要か考えてみましょう。
・マラソンの申し込み
マラソンのイベントに参加するためには、インターネットで申し込みを行います。親御さん自身が申し込みを行なっている場合もあるのですが、競争率の高い大会ですと申し込み完了までの時間勝負があり、娘にお願いして申し込みを行なったとしましょう。
マラソンは趣味なため、ユニバーサルデザインがそこまで必要なwebサイトではないのかもしれません。しかし、マラソンのイベントは、意外にシニアの方の参加も多いそうなので、シニアでも使いやすいデザインを意識した方がよさそうです。
・飛行機の申し込み
・宿泊先の申し込み
旅行に慣れている方は、スマホのアプリを使ってサクッと申し込みができると思いますが、シニア世代の方でイマイチ慣れておらず、旅行代理店の店舗で申し込んでいる方も多いかもしれません。
たしかに店舗へ行くと、交通手段と宿泊先をセットで手配してくれるため、とてもラクなことでしょう。 シニア世代に限らず、若い方でも旅行の申し込みとなると、どの予約サイトが便利なのかがわからず、ブラウザで検索するところからスタートするという方もいらっしゃるかもしれません。
広告で表示されるものがよいのか、自然検索で表示されるサイトがいいのか、いろいろチェックした後に「わからない!」となってしまいまったことはありませんか?
「旅行の予約サイトって、どのサイトも似たような構造でわかりづらい印象」ということを何度が耳にしたことがあります。
・空港までの交通手段
・現地での交通手段
これは調べることが単純なぶん、スマホのアプリもわかりやすいため、そこまで困ることはないかと思われます。初めての土地でも、現在地から目的地まで地図アプリで検索すれば、おすすめの交通手段まで表示されることでしょう。
ブラウザで目的地の名前を検索すれば、その場所の地図や経路の案内も簡単に見られるようになりました。
・観光地の検索
今となっては、「観光ガイドを片手に、観光する」なんて、ちょっと懐かしく感じるものです。それはそれで趣がありましたが、ガイド本は荷物になるため、スマホでなんでも検索できるようになった今、便利な時代になりました。
ほとんどのショップやサービスがwebサイトを持つようになり、ユーザー側からすると便利な世の中になったものの、運用側からすると“競争率の激化”で大変な時代ともいえます。
ユニバーサルデザインへの対応は、優良なWebサイトだと認識されやすくなり、SEO対策にもなります。ターゲットや利用シーンだけを考えると、必ずしもユニバーサルデザインが必要ではないように思われますが、SEO対策にもなると考えると積極的に取り組みたいものです。
ユニバーサルデザイン対応Webサイトのポイント
では実際に、どのようなポイントに気をつけたら使いやすいWebサイトになるのでしょうか。
・文字の大きさ
文字や文章の読みやすさは、可読性や視認性、判読性という3つの要素で構成されています。文字の大きさはこれらの要素に大きく関係しているため、一般的に本文の文字サイズは14〜16pxがよいと言われています。
・フォントの種類
大きければそれだけで読みやすいかというと、そうではありません。パッと見て文字を視認できるか、文字を誤認することなくスラスラ判読できるかがとても大切です。
そのためにユニバーサルデザインを考慮してつくられたUDフォントというものがあります。日本語は特に似たような文字が多いため、なるべく視認、判読しやすいフォントを選びましょう。
・色
加齢によって、小さい文字を読みづらくなるというのはイメージしやすいかと思うのですが、実は色の見え方にも変化があると言われています。
また、加齢に関係なく、色の見え方が一般とは異なる方もいらっしゃいます。そのような方たちも見やすいように、こちらもユニバーサルデザインを考慮した「カラーユニバーサルデザイン」というものがあります。
自治体がガイドラインを作成し、公共施設の使いやすさに取り入れています。カラーユニバーサルデザインに向けた取り組みや工夫なども書かれてあるので、ぜひ一度ご覧ください。
・色の見え方チェック
色について、カラーユニバーサルデザインというガイドラインがあるとお伝えしましたが、Photoshopを使用すれば「表示」→「校正設定」から「P型(1型)色覚」もしくは「D型(2型)色覚」を選択するだけで、P型色覚者、D型色覚者に見えている世界を簡単に再現することができます。
ホームページを制作する際は、すべての人が読みやすいWebサイトづくりができているか、しっかりとチェックすることが大切です。
・わかりやすいナビゲーション
初めて見るWebサイトだと「使い方がわからない」ということもあるかと思います。目的のページを見るのにどのボタンを押せばいいのか、サイト内の遷移や外部サイトへのリンクなどを探さなければならないことも…。
誰もが使用しなければならないような公共サービスのwebサイトはもちろんのこと、少しでもユーザーを増やしたいWebサイト運用者は、わかりやすいナビゲーションを意識する必要があります。
・過度なカタカナ語は避ける
日本語には、たくさんの外国語がカタカナで表現されて日常になじんではいますが、話し言葉だとわかるものの、カタカナ表記だと読みづらく、判読するのに時間がかかったり意味を理解するのに時間がかかったりすることがあるかもしれません。
読みづらさはWebサイトの離脱に繋がります。一般的なカタカナ語以外の使用は避け、できるだけ視認、判読しやすい常用漢字を使用しましょう。
また、お子さま向けのサイトであれば漢字を避け、ひらがなにしたりなどの配慮も必要です。
「シンギ」へお気軽にご相談ください!
今回は、さまざまな例を挙げながら、Webサイトのユニバーサルデザインについてお伝えしました。とにかく「誰にでも見やすい!使いやすい!」ことは、とても大切です。とはいえ、これだけのことに配慮しながらWebサイトを制作・運用していくには、自社内のみで行うのは大変です。
シンギでは、ユニバーサルデザインに配慮したデザインのご相談も承っています。
新たな事業をはじめるにあたり、Webサイトの制作を予定されている方、既存のWebサイトのスマホ対応を早急に進めたい方など、お客様の状況に合わせて対応できるよう、Webサイトやオンラインシステムの企画・制作・運用をプロジェクトベースで行なっております。
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