まず切り分ける:原因は大きく3つしかない
順位下落の原因は、突き詰めると次の3つに分かれます。どれに当たるかで打つ手がまったく違うため、最初にここを切り分けます。
- 自社サイト側の問題 ページが表示できない、誤って検索避けの設定が入った、大幅にページを変更した、など
- アルゴリズムの変動 Google の評価基準そのものが変わり、多くのサイトで同時に順位が動いた
- 競合の動き 自社は変わっていないが、競合がより充実したページを出して相対的に押し下げられた
見分け方の目安は「いつから」と「どの範囲で」です。特定の1ページだけが落ちたなら①か③、サイト全体のさまざまなページが同時期に落ちたなら②の可能性が高くなります。
確認項目1〜3:自社サイト側の問題を先に消す
アルゴリズムを疑う前に、自分たちで起こしてしまった問題を消します。ここは数分で確認でき、当てはまった場合は直せば戻る可能性が高い項目です。
1. そのページは今も正常に表示されるか
該当ページのURLをブラウザで開き、エラーになっていないか、内容が消えていないかを確認します。サーバーの不調やCMSの更新で、一時的に表示できない状態になっていることがあります。Search Console の「ページ」レポートで、そのURLが「登録済み」から外れていないかもあわせて確認します。
2. 検索避けの設定が入っていないか
意外に多いのが、サイト制作時やリニューアル時の設定が残っているケースです。WordPress の「設定 → 表示設定」に「検索エンジンがサイトをインデックスしないようにする」のチェックが入っていないか、該当ページに noindex が指定されていないかを確認します。ここが原因の場合、順位が下がるのではなく検索結果から完全に消えます。
3. 落ちる直前にページを大きく変えていないか
URLの変更、見出し構成の入れ替え、本文の大幅削減は順位に直結します。特にURLを変えたのに転送設定をしていない場合、それまでの評価が引き継がれません。更新履歴をたどり、下落の時期と変更の時期が重なっていないかを確認してください。
確認項目4〜5:変動かどうかを数字で見分ける
4. 下落は「1ページだけ」か「サイト全体」か
Search Console の「検索結果」レポートで期間を「過去28日間」にし、前の期間と比較します。ページ単位で並べたとき、下がったのが一部か、広い範囲かを見ます。広い範囲で同時に下がっていれば、アルゴリズム変動の可能性が高くなります。
5. 減ったのは「表示回数」か「クリック数」か
同じ「アクセスが減った」でも、意味がまったく違います。
- 表示回数が減った 検索結果に出る回数自体が減っている。順位下落、または検索する人が減った(季節要因を含む)
- 表示回数は同じでクリック数が減った 順位は保っているが選ばれていない。検索結果に出るタイトルや説明文の見直しで改善できる余地が大きい
後者であれば、記事を書き直すよりタイトルと説明文を整えるほうが早く効きます。順位が変わらないまま流入だけを増やせる、費用対効果の高い改善です。
確認項目6〜7:競合と検索意図の変化を見る
6. 上位に来ているのはどんなページか
対象のキーワードで実際に検索し、現在1〜3位にあるページを開きます。自社ページと比べて、扱っている論点、具体例の量、情報の新しさに差がないかを確認します。競合が更新した結果として相対的に落ちたのであれば、自社ページも同じ論点を満たす形に補強するのが対応になります。
7. 検索している人の目的が変わっていないか
検索結果の顔ぶれが、記事中心から比較ページや事例中心へ入れ替わっていることがあります。これは「そのキーワードで求められている答えの形」が変わったサインです。この場合、同じ形式のまま加筆しても戻りにくく、ページの役割そのものを見直す必要があります。
変動だった場合に、やってはいけないこと
アルゴリズム変動が原因だと分かったとき、最も損をしやすいのが次の3つです。
- 数日のうちに大幅な書き換えをする 変動は数日から数週間かけて落ち着くことがあり、途中の順位を見て判断すると誤ります
- ページを削除する 戻る可能性のある評価を自ら捨てることになります
- 順位だけを見て一喜一憂する 最終的に見るべきは問い合わせや売上です。順位が少し下がっても問い合わせが減っていないなら、優先度は高くありません
やるべきことは、下がったページの中身を、検索している人にとって実際に役立つ形へ整えることに尽きます。自社で経験した事例、実際の数字、担当者だから書ける判断基準といった、他社が真似できない情報を足すことが最も確実な対策です。
7項目のチェックシート(そのまま使えます)
実際に確認するときは、次の順で上から潰していきます。①〜③で当てはまるものがあれば、そこで手を止めて先に直してください。④以降を調べても意味がなくなります。
| # | 確認すること | 見る場所 | 当てはまったときの対応 |
|---|---|---|---|
| 1 | ページが正常に表示されるか | ブラウザ / Search Console「ページ」 | 表示の不具合を復旧する |
| 2 | 検索避けの設定が入っていないか | WordPress 表示設定 / 該当ページの設定 | 設定を解除し、再登録を申請する |
| 3 | 直前にページを大きく変えていないか | 更新履歴 | URL変更なら転送を設定する |
| 4 | 下落は1ページか、広い範囲か | Search Console「検索結果」期間比較 | 広い範囲なら変動を疑い、静観する |
| 5 | 減ったのは表示回数かクリック数か | 同上 | クリック数だけならタイトル・説明文を見直す |
| 6 | いま上位にあるページとの差 | 実際の検索結果 | 不足している論点を補う |
| 7 | 検索結果の顔ぶれが変わっていないか | 実際の検索結果 | ページの役割そのものを見直す |
AI が答えを出す検索への備え
近年は、検索結果の上部に AI が生成した回答が表示される場面が増えました。ここで自社の情報が引用されるかどうかは、これまでの検索対策と無関係ではありません。質問に対して答えが明確に書かれているページが参照されやすく、前置きが長く結論が終盤にあるページは扱われにくくなります。
順位の下落を機にページを見直すなら、次の2点を先に整えると、通常の検索でも AI の回答でも扱われやすくなります。
- 見出しを「問い」の形にし、その直後に結論を書く 「〜とは」「〜はいくらか」に対して、次の1〜2文で答えきる構成にします
- 一次情報を入れる 自社で実施した内容、実際にかかった期間、担当者としての判断基準など、他社が書けない情報を含めます。AI が要約しても残るのはこの部分です
変動に強くするために、月1回だけやること
変動そのものは避けられません。避けられるのは「気づくのが遅れること」と「原因が分からないまま慌てること」です。そのために必要なのは、月に1回、同じ項目を同じ形式で記録しておくことだけです。
- Search Console から3つの数字を控える 表示回数・クリック数・平均掲載順位。サイト全体と、主要な5〜10ページ分
- 問い合わせ件数を並べて書く 検索の数字と問い合わせを同じ表に置くと、順位の変化が事業にどう効いているかが見えます
- 気づいたことを1〜2行残す 「今月はこのページを更新した」「競合が事例ページを増やした」など。翌月以降、原因を特定する手がかりになります
所要時間は慣れれば15分ほどです。この記録があるかどうかで、順位が動いたときの初動がまったく変わります。記録がない状態では「いつから下がったのか」すら分からず、原因の切り分けに入れません。
よくある質問(FAQ)
Q. 順位が下がってから、どのくらい様子を見るべきですか?
自社側の問題(確認項目1〜3)が見つからなければ、まず2週間ほど様子を見ることをおすすめします。変動の途中で手を入れると、順位が戻ったときに何が効いたのか分からなくなり、次に活かせません。その間に、確認項目6〜7の競合比較を進めておくと無駄がありません。
Q. 順位は下がったのに問い合わせが減っていません。対応は必要ですか?
急いで対応する必要はありません。順位はあくまで途中の指標で、最終的な目的は問い合わせや受注です。問い合わせが維持できているなら、そのページより「表示回数は多いのにクリックされていないページ」に手を入れるほうが効果が大きくなります。
Q. 社内に専任者がいなくても確認できますか?
本記事の7項目は、Search Console の画面と実際の検索結果を見るだけで進められます。判断に迷いやすいのは項目6〜7(競合比較と検索意図)で、ここだけ外部の目を借りるという進め方も現実的です。
Q. 毎回この確認をするのは大変です。予防策はありますか?
月に1回、表示回数・クリック率・問い合わせ数を同じ形式で記録しておくと、変化が起きたときに「いつから・どの範囲で」がすぐ分かります。記録がないと、毎回ゼロから調べ直すことになります。変動に強いサイトの共通点は、特別な施策ではなく、この定点観測が続いていることです。
まとめ
Googleの順位が急に下がったときは、慌てずに原因を切り分けることが重要です。まずは自社サイト側に問題がないかを確認し、次にSearch Consoleのデータからアルゴリズム変動の影響かどうかを見極めましょう。競合や検索意図の変化もあわせてチェックすることで、適切な対策が見えてきます。
アルゴリズム変動が原因の場合は、焦って大幅な書き換えやページ削除を行わず、ユーザーにとって役立つ情報を足すことに注力してください。月に1回の定点観測を続けることで、順位変動にも強いサイト運営が可能になります。
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