近年、多くの企業が導入している“動画広告”。静止画のバナー広告よりも高い訴求力を持つことから、市場規模も拡大しており、無視できない存在になりつつあります。しかし、動画広告といっても種類は様々で、特徴やメリット・デメリット、効果的な運用方法はそれぞれ異なります。
そこで、この記事では、動画広告を種類別に紹介し、それぞれの特徴やメリット・デメリットや運用ポイントなどを解説いたします。デジタルマーケティングの一つとして、動画広告を効果的に活用していきましょう!
動画広告とは?市場が急成長する理由
動画広告とは、動画コンテンツを用いた広告手法のことで、テレビCMのようにテレビで放映されるものだけでなく、Webサイトやソーシャルメディア、動画共有プラットフォームなど、様々な媒体で配信されています。
近年では、動画配信技術の進化に伴い、動画広告市場は急速に成長を遂げています。
動画広告市場が急成長している理由
動画広告市場が急成長している要因として、時代背景やインターネットの高速化、配信技術の進化などが挙げられます。それらの要因について、以下で具体的に紹介していきます。
1. コロナ禍以降に動画の視聴習慣が定着
新型コロナウイルスをきっかけに、多くの人がおうち時間をはじめ、通勤時間や休憩時間などの隙間時間を利用した動画視聴が習慣化されたことで、動画コンテンツを視聴する習慣が定着しました。
2. インターネット回線の高速化と大容量化
光回線や5Gなどの普及により、高画質・長時間の動画でもストレスなく視聴できるようになり、快適な視聴環境が整ったことで動画コンテンツへの需要が高まっています。
3. 動画制作・配信技術の進化
動画編集ソフトや配信プラットフォームの進化により、高品質な動画を比較的容易に制作・配信できるようになりました。そのため、企業は手軽に動画広告を制作し、ターゲット層にリーチできるようになり、動画広告市場への参入障壁が低くなったことも要因の1つとして挙げられます。
4. データ分析に基づいた効果測定
動画広告は、視聴回数、再生時間、クリック率など、様々な指標で効果測定を行うことができます。
Googleアナリティクスなどのツールを活用することで、データに基づいた分析を行い、広告効果の改善につなげることが可能です。このように、容易に効果測定ができることも動画広告市場の成長を支えています。
【事例付き】動画広告のメリット・デメリットを種類別にご紹介
動画広告は、静止画広告よりも多くの情報を伝えられるため、ユーザーへ訴求しやすいなど多くのメリットがある一方で、制作コストや配信コストがかかるといったデメリットもあります。
ここでは、BtoB、BtoCビジネスにおける動画広告の有効性と、主要な動画広告の種類を挙げ、それぞれのメリット・デメリットと具体的な活用事例をご紹介します。
BtoB/BtoCで有効な理由
動画広告はBtoB、BtoCどちらのビジネスにおいても有効なマーケティング手法です。BtoCでは、商品やサービスの魅力を視覚的に訴求し、購買意欲を高めることができます。
例えば、化粧品の使用感や、食品のおいしさを動画で表現することで、静止画広告よりも消費者の共感を呼び起こしやすくなります。
一方、BtoBでは、複雑な製品やサービスを分かりやすく説明したり、企業の理念やビジョンを伝えたりするのに効果的です。
特に、専門性の高い製品やサービスの場合、テキストや静止画だけでは伝えきれない情報を動画で伝えることで、顧客の理解を深め、信頼感の向上に繋げることができます。
近年では、企業ブランディングや採用活動などにも動画広告が活用されるケースが増えています。
YouTubeだけじゃない!動画広告の種類と特徴一覧
動画広告はYouTubeだけでなく、様々なプラットフォームで配信することができます。その際、各プラットフォームのユーザー層や特性を理解して、適切なプラットフォームで配信することが重要です。
プラットフォーム | メリット | デメリット | ターゲット層 | 特徴 |
YouTube広告 | 幅広い年齢層へのリーチ、多様な広告フォーマット、詳細なターゲティング設定が可能 | 広告スキップ、競合が多い | 多様な年齢層、興味関心に基づいたターゲティングが可能 | 世界最大の動画共有プラットフォーム、幅広い年齢層にリーチ可能 |
Facebook/Instagram広告 | 詳細なターゲティング、高いエンゲージメント率、比較的低コスト | 広告疲れ、オーガニックリーチの低下 | 特定の属性、興味関心を持つユーザー | 詳細なターゲティングが可能 |
TikTok広告 | 若年層へのリーチ、高いエンゲージメント率、トレンドへの対応 | 広告スキップ、ブランドイメージとの不適合性 | 若年層、トレンドに敏感なユーザー | ショートムービープラットフォーム、若年層へのリーチに効果的 |
X(旧Twitter)広告 | リアルタイムな情報発信、拡散力 | 短期間での効果測定が必要、広告の寿命が短い | 特定のキーワード、ハッシュタグに興味を持つユーザー | リアルタイムの情報発信プラットフォーム、時事的な話題と関連付けた広告展開が可能 |
LinkedIn広告 | ビジネスパーソンへのリーチ、高い信頼性 | 比較的高コスト、限定的な広告フォーマット | ビジネスパーソン、特定の職種や業界 | ビジネス特化型SNS、BtoB向けの広告に最適 |
この他にも、LINE広告やYahoo!広告など様々なプラットフォームで動画広告を配信することができます。
動画広告の活用事例
事例1:化粧品メーカーA社(BtoC)
A社は、新商品のファンデーションのプロモーションにYouTube広告を活用。メイクアップアーティストによる使用方法の解説動画を配信して、商品の魅力を効果的に伝えたことで、ユーザーの購買意欲を向上させることに成功。インフルエンサーマーケティングと組み合わせることで、さらなる認知拡大を図りました。
事例2:SaaS企業B社(BtoB)
B社は、自社サービスの導入事例動画をLinkedIn広告で配信。既存顧客の成功事例をインタビュー形式で紹介することでサービスの信頼性を高め、リード獲得に繋げました。
ターゲットを特定の業種や業界絞り込んで配信したことにより、効率的に成果を出すことができました。
動画広告の効果を最大化する運用ポイント
動画広告は、正しく運用することで大きな効果を発揮します。
ここでは、ビジネスの成功に繋げるための重要なポイントを「ターゲティング、クリエイティブ、効果測定、改善」の4つの側面から解説します。
①ターゲティング戦略の最適化
動画広告の効果を最大化するためには、適切なターゲティングが必要です。ターゲット層を明確化し、その層へ的確に広告を届けることで費用対効果を向上させることができます。
主要なプラットフォームでは、年齢、性別、地域、興味関心など、様々なターゲティングオプションが用意されているので、これらを効果的に活用し、自社の商品やサービスに興味を持つ可能性の高いユーザーへ広告を配信しましょう。
②魅力的なクリエイティブの制作
ターゲティングと同様に重要なのが、魅力的なクリエイティブの制作です。ユーザーの心を掴み、行動を促すような動画広告を制作することで、高い広告効果を実現することができます。
以下に、効果的な動画制作のポイントをまとめたので、参考にしてみてください。
ポイント | 詳細 |
最初の数秒で惹きつける | ユーザーは最初の数秒で動画を見るか判断するため、冒頭で興味を引くようにしましょう。 |
明確なメッセージを伝える | 動画で何を伝えたいのかを明確にし、簡潔にメッセージを伝えましょう。 |
高品質な映像と音声 | ユーザーに不快感を与えないよう、高品質な映像と音声で制作しましょう。 |
行動喚起を促す | 動画を見た後にユーザーにどのような行動を取ってほしいのかを明確に示しましょう。 |
③効果測定と改善
動画広告の効果を最大化するためには、定期的に効果を測定して改善することが不可欠です。インプレッション数、クリック率、視聴回数、コンバージョン率(CVR)など、様々な指標を分析し、改善点を洗い出すようにしましょう。
④プラットフォームごとの特性を理解する
それぞれのプラットフォームごとに異なる特性があります。各プラットフォームのユーザー層や広告フォーマットを理解し、最適な戦略を立てることが重要になります。
動画広告にAIツールは活用できる?
視覚と聴覚の両方に訴求できる動画広告は、高い広告効果が期待できます。動画作成AIを使えば、テキストや画像、音声などの素材から動画を自動生成したり、既存の動画を編集したりすることも可能です。
また、アニメーション動画の作成や、動画の字幕生成などもAIで自動化することができます。
※広告制作における生成AIの活用事例について詳しく知りたい方は「広告業界のAI活用事例|生成AIを活用したクリエイティブ」をご覧ください。
代表的なツール
ツール名 | 特徴 | 活用例 |
Pictory AI | ブログ記事やスクリプトから動画を自動生成 | SNS広告用動画作成、プロモーション動画制作 |
Synthesia | アバターを使った動画作成が可能 | 説明動画作成、トレーニング動画制作 |
動画生成AIの活用事例
動画作成AIは、商品紹介動画や企業VP、広告動画など、動画コンテンツの制作に活用されています。まだ発展途上ではありますが、今後ますます活用が進むと予想される分野です。
参考までに、動画作成AIを活用した成功事例と失敗事例を紹介します。
事例1:A社による商品紹介動画作成
A社では、自社製品の商品紹介動画を作成するために、動画作成AIを活用して短い動画を自動生成しました。
それをSNSで配信した結果、多くのユーザーから「分かりやすい」「商品の魅力が伝わってくる」といった高評価を得ることができ、再生回数は10万回を超え、大きな反響を呼びました。
事例2:B社による期間限定価格商品の宣伝動画作成
B社では、期間限定でお得に商品を買えることを宣伝をするために、動画生成AIを活用し、数人の美少女が商品を持って微笑んでいる動画を生成しました。
ところが、商品が食品であったためか、多くのユーザーから「不気味」「不自然だ」といった酷評があがる結果に。この事例では、食品×AIの難しさやお客様への感情的配慮が重要であることを示した事例と言えるでしょう。
人は、“AIで作られた人間”の見た目や動きが人間と似ているほど、無意識に「本物の人間らしさ」を期待してしまうため、笑っていない目元・笑っている口元などの非対称な表情や、ぎこちない動きといった違和感矛盾を感じ、食品との相性が合わなかったことが考えられます。
AIツール活用における注意点
AIツールを効果的に活用することで、動画広告の制作・運用を効率化し、成果を最大化することが可能になります。ただし、現時点では、AIツールは万能ではなく、適切な運用と人間の判断が不可欠であることを頭に入れておきましょう。
そこで、AIツールを活用する際に必要な注意点を以下に挙げます。
- データの正確性が必要AIツールはデータに基づいて動作するため、入力データの質が結果に大きく影響します。
- 倫理的な配慮が必要著作権やプライバシーなど、倫理的な側面に配慮する必要があります。
- 人間の判断が必要あくまで補助ツールであり、最終的な判断は人間が行う必要があり、常に批判的な視点を持つことが必要です。
今は生成AIの過渡期となっており、様々な意見が飛び交っている状態ですが、生成AIの良い部分は取り入れ、注意すべき点は人の手・判断で吟味し、賢く活用するようにしましょう。
まとめ
この記事では、動画広告の種類や特徴と、それぞれのメリット・デメリット、効果的な運用方法について解説しました。
動画広告市場は急成長を続けており、BtoB、BtoC問わず、様々なビジネスシーンで活用されています。正しく運用することで大きな効果を発揮することができる強力なマーケティングツールであるため、上手く活用していきましょう。
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