ビジネスで成果を上げるには、課題を明確化し、適切な解決策を見つけることが欠かせません。しかし、闇雲に取り組んでも当然ながら、期待する効果を出すことは難しいですよね。
そこで、活用したいのが「フレームワーク」です。フレームワークを活用すれば、複雑な問題を整理し、論理的に解決策を導き出すことができます。
この記事では、フレームワークの基礎知識から様々なビジネスシーンで役立つ具体的なフレームワークとその活用方法まで、目的別に分かりやすく解説します。
フレームワークとは
フレームワークとは、ビジネスにおける意思決定や問題解決を効率的に行うための「思考の枠組み」を指します。何かを決める際に、あれこれ悩むよりも適切なフレームワークを用いることで思考が整理され、多角的な視点を得ることができます。さらに、時間短縮やチーム内の情報共有の円滑化にもつながるため、経営戦略や業務改善などに活用されています。
フレームワークの重要性
フレームワークは、複雑な問題を整理・分析し、解決策を導き出すための「成功へのルートを示す地図」のような役割を果たします。フレームワークを使わずに問題解決に取り組むことは、地図を持たずに目的地を目指すようなものです。進むべき方向を示し、迷わずにビジネスの目標達成へと導く重要な手段となるため、活用しない手はありません。
フレームワークのメリット・デメリット
ビジネスの課題解決にフレームワークを活用することは、多くのメリットをもたらしますが、同時にデメリットも存在します。メリット・デメリットの両方を理解し、状況に応じて課題を解決していきましょう。
メリット
フレームワークを導入することで得られる主なメリットは以下の通りです。
メリット | 説明 |
効率的な思考整理 | フレームワークは思考の道筋を整理し、抜け漏れを防ぎます。複雑な問題も構造的に捉えることで、効率的に分析・解決策を立案することができます。 |
共通認識の形成 | チーム内で共通のフレームワークを用いることで、認識のズレを防ぎ、スムーズにコミュニケーションがとれるようになります。議論の土台を共有することで、生産的かつ効率的な議論ができるようになります。 |
客観的な分析 | 主観的な判断に陥りがちな状況の際に、客観的な視点が取り入れやすくなります。多角的な視点から分析することで、より精度の高い意思決定に繋がります。 |
再現性の向上 | 成功事例をフレームワーク化することで成功要因を分析し、他のプロジェクトにも応用することができます。再現性を高めることで、成功確率の向上に役立ちます。 |
学習コストの削減 | 先人たちの知恵や経験が体系化されたフレームワークを学ぶことで、効率的にビジネススキルを習得し、試行錯誤する時間を減らすことができます。 |
このように、フレームワークは、思考の整理術やビジネススキルの向上に役立ちます。
デメリット
一方で、以下のようなデメリットも存在します。
デメリット | 説明 |
柔軟性の欠如 | フレームワークは、特定の状況に合わせて作られているため、すべての状況に適用できるわけではありません。状況によっては、柔軟に対応できない場合があります。 |
表面的な理解 | フレームワークを形式的に適用するだけでは、本質的な理解に繋がらず、効果的に活用することはできません。フレームワークの背後にある考え方や原理を理解することが重要です。 |
過度な依存 | フレームワークに過度に依存してしまうと、独自の思考力が低下する可能性があります。フレームワークはあくまでもツールであり、思考停止に陥らないよう注意が必要です。 |
デメリットを克服するためのポイント
フレームワークを効果的に活用するためには、以下のポイントを意識すると良いでしょう。
- フレームワークの目的と限界を理解する
- 状況に合わせて柔軟に適用する
- 本当に適切なのか常に疑問を持つ
- 複数のフレームワークを組み合わせて使う
これらのポイントを踏まえ、ビジネスの課題解決に繋げていきましょう。
【目的別】フレームワークの活用法5選
ビジネスシーンにおいて、適切なフレームワークを活用することは、課題解決や目標達成への近道となります。目的別に最適なフレームワークを選ぶことで、より効率的に成果を上げることができます。
ここでは、「思考整理」「現状理解」「顧客理解」「目標設定」改善の5つの目的に分けて、おすすめのフレームワークと活用方法をご紹介します。
【思考整理】のフレームワーク分析
複雑な問題や情報を整理し、論理的に考える際に役立つフレームワークです。思考の漏れを防ぎ、的確な判断を下すためのサポートとなります。

大きな問題を小さな要素に分解し、ツリー状に構造化することで、問題の本質を捉えやすくします。原因の特定や解決策の立案に効果的です。
要素を分解する際に迷った時は、「〜かもしれない」と仮説を立てることで、新たな要素に気づいて書き出せるようになります。また、「ロジックツリーを作成したら終わり」ではなく、「今すぐできる行動」まで分解して実践することが大切です。

MESE(ミーシー)は「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を取った略称で、要素を漏れなく、ダブりなく分類するための思考法です。
マーケティングや情報整理、戦略を立案する際など、ビジネスの全体像を把握する際に役立ちます。
【現状理解】のフレームワーク分析
自社を取り巻く環境や市場を分析し、現状を客観的に把握するためのフレームワークです。現状を正しく理解することで、適切な戦略を立てることができるようになります。

3C分析は、市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの視点から現状を分析するフレームワークです。自社の強み・弱み、市場機会・脅威を明確にすることで、効果的な戦略の立案に繋げることができます。
AB3C分析
3C分析に優位点(Advantage)と価値(Benefit)の視点を加えた応用フレームワークがAB3C分析です。「顧客から選ばれる理由」を見出すためのマーケティング戦略を策定する際に役立ちます。

政治、経済、社会、技術の4つの視点からマクロ環境を分析します。外部環境の変化がビジネスに及ぼす影響を予測し、リスク回避や機会特定に用いられます。
【顧客理解】のフレームワーク分析
顧客の行動や心理を理解するためのフレームワークです。顧客ニーズを的確に捉え、効果的なマーケティング戦略を立案する上で重要となります。

共有の一連の流れを示した、デジタルマーケティングにおける顧客の行動モデルです。
・Attention(注意)
・Interest(関心)
・Search(検索)
・Action(行動)
・Share(共有)
昭和〜平成初期はAIDMA(Attention 注意、Interest 関心、Desire 欲求、Memory 記憶、 Action 行動)が主流でしたが、インターネットの普及により、AISASへ変化しました。

ソーシャルメディア時代に適した消費者の購買プロセスのことで、消費者自身が情報を拡散する点が特徴です。共感を起点に信頼が高まり、より多くの人に影響を与えるため、SNS時代のマーケティング戦略として重要視されています。
【目標設定】のフレームワーク分析
明確に達成可能な目標を設定するためのフレームワークです。目標を適切に設定することで、モチベーションの向上や成果の最大化させることに繋がります。

以下の5つの要素を含んだ、明確な「目標設定」に欠かせないフレームワークです。
・Specific(具体的)
・Measurable(測定可能)
・Achievable(達成可能)
・Relevant(関連性)
・Time-bound(期限)
例えば、「売上目標◯◯円」など、具体的に書かれているか、達成度合いなど測れる目標になっているか、達成可能な現実的な内容になっているか、会社の方針と乖離がないかを意識して作成しましょう。

目標を達成するために、企業の目標と社員個人の目標を擦り合わせる方法です。企業全体が同じ方向に進むために、目標設定・進捗確認・評価を頻繁に行います。OKRの特徴は、高い目標を設定し、達成率が60〜70%程度となることが理想とされ、モチベーションの向上を図る点にあります。
【改善】のフレームワーク分析
業務プロセスやサービスを継続的に改善するためのフレームワークです。問題点を特定し、改善策を実行することで、より良い成果を生み出すことができます。

以下の4つの視点から、自社の内部環境と外部環境の分析・戦略の立案に役立てます。機会を捉え、脅威を回避することで競争優位性を築くことができます。
・Strengths(強み)
・Weaknesses(弱み)
・Opportunities(機会)
・Threats(脅威)
【SWOT分析の手順】
- 情報収集
企業や市場のデータを集め、自社の内部環境・外部環境を明確にする。 - 4つの要素を整理
SWOTの4項目(強み・弱み・機会・脅威)を分類してリストアップする。 - クロスSWOT分析を行う(戦略立案)
4つの要素を組み合わせて具体的な戦略を立てる。
クロスSWOT分析(TOWSマトリックス)とは
クロスSWOT分析とは、SWOT分析で洗い出した4つの項目を掛け合わせて具体的な戦略を導き出す手法です。通常のSWOT分析よりも実践的な戦略策定に活かしやすいのが特徴です。
具体的には、以下のような「クロスSWOT分析」を行います。
戦略の種類 | 説明 |
SO戦略(強み × 機会) | 自社の強みを活かして、市場の機会を最大限に活用する戦略 |
WO戦略(弱み × 機会) | 弱みを克服しながら、市場の機会を活かす戦略 |
ST戦略(強み × 脅威) | 強みを活かして、外部の脅威に対応する戦略 |
WT戦略(弱み × 脅威) | 弱みを最小限に抑えながら、脅威を回避する戦略 |

Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つのステップを繰り返し、継続的な改善を行うためのサイクルです。業務プロセスを改善し、効率化を図る上で広く活用されています。
※PDCAサイクルの詳細は「PDCAサイクルとOODAループの違いとは?事例と活用方法を解説!」をご覧ください。
フレームワークの注意点3つ
フレームワークは、課題解決や戦略立案に役立つツールですが、いくつかの注意点があります。フレームワークを効果的に活用するための主要なポイントを紹介します。
1. 目的に合ったフレームワークを選ぶ
フレームワークには多くの種類があり、それぞれ適した用途があります。目的に合わないフレームワークを使用すると、的外れな結論になったり混乱を招いたりする可能性があります。「何のために使うのか」を明確にしてから適切なフレームワークを選択するようにしましょう。
例:マーケティング戦略 →「3C分析」
事業環境の分析 →「SWOT分析」「PEST分析」など
2. 客観的に分析する
フレームワークを使う際は、主観を排除し、データに基づいた冷静な判断 をすることが大切です。主観的な判断をしてしまうことで、せっかくのフレームワークが意味のないものになってしまいます。そのため、できるだけ客観的なデータを使うようにしましょう。
・自社の強み・弱みを過大評価しない
・事実に基づいた情報を集める
・多角的な視点を取り入れる(異なる立場の意見を聞く)
3. 実行可能な戦略に落とし込む
フレームワークは、分析するだけでは意味がありません。 具体的なアクションプランに落とし込むことが重要です。フレームワークの結果を振り返り、改善を重ねることが成功への鍵です。
・実際の行動につなげる
・計画を実行し、結果を検証する
・必要に応じて戦略を見直す
まとめ
この記事では、ビジネスにおける課題解決に役立つフレームワークを、目的別に紹介しました。フレームワークを適切に活用することで、ビジネスの課題を効率的に解決し、成果を最大化することができます。この記事を参考に、早速実践してみましょう!
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