インフルエンサーマーケティングの効果について、漠然としたイメージをお持ちではないでしょうか。BtoCとBtoBでは、その効果やアプローチが大きく異なります。
この記事では、両者のインフルエンサーマーケティングがもたらす具体的な効果を比較し、特にBtoBにおける効果的な戦略と成功の秘訣を解説します。
インフルエンサーマーケティングの基本と効果の全体像
現代のマーケティング戦略において、インフルエンサーマーケティングは企業がターゲット顧客とつながるための強力な手段として確立されています。
インフルエンサーマーケティングがもたらす一般的な効果
インフルエンサーマーケティングとは、ソーシャルメディアなどで影響力を持つ個人(インフルエンサー)を通じて、製品やサービスをプロモーションするマーケティング手法です。
従来の広告とは異なり、インフルエンサーが自身のフォロワーに対して、あたかも友人のような親近感を持って情報を発信することで、様々な効果が期待できます。
具体的にインフルエンサーマーケティングがもたらす一般的な効果は、以下の点が挙げられます。
- 認知度向上とリーチ拡大インフルエンサーのフォロワー基盤を活用することで、短期間で広範なオーディエンスにリーチし、製品やサービスの認知度を飛躍的に高めることが可能です。特に、ターゲット層に合致したインフルエンサーを選定することで、効率的な情報伝達が実現します。
- 信頼性・共感の獲得インフルエンサーが自身の言葉で製品やサービスを推薦することは、企業が直接発信する広告よりも、消費者に信頼されやすく、共感を呼びやすい傾向にあります。これにより、ブランドへのポジティブな感情が醸成されやすくなります。
- 購買意欲の喚起と売上への貢献インフルエンサーによる具体的な使用シーンの紹介や体験談は、フォロワーの購買意欲を強く刺激します。特に、インフルエンサーが提供するクーポンコードや限定リンクなどを通じて、直接的な売上への貢献も期待できます。
- エンゲージメントの向上インフルエンサーの投稿は、コメント、いいね、シェアといったフォロワーからの活発なリアクションを促します。これにより、ブランドと顧客との間に双方向のコミュニケーションが生まれ、より深い関係構築に繋がります。
- ブランドイメージの構築・改善インフルエンサーの個性やライフスタイルとブランドイメージを連動させることで、特定のブランドイメージを効果的に構築したり、既存のイメージを刷新したりすることが可能です。
BtoCとBtoBインフルエンサーマーケティングの根本的な違い
インフルエンサーマーケティングは、BtoCとBtoBのどちらのビジネスモデルにおいても有効な戦略となり得ますが、そのアプローチには根本的な違いが存在します。
以下に、BtoCとBtoBインフルエンサーマーケティングの主な違いをまとめました。
項目 | BtoCインフルエンサーマーケティング | BtoBインフルエンサーマーケティング |
ターゲット層 | 一般消費者(個人の感情やニーズに訴求) | 企業の意思決定者、担当者、部門責任者(組織の課題解決やROIに訴求) |
意思決定プロセス | 感情や衝動、個人的な欲求に基づいた比較的短期間の意思決定 | 論理、データ、費用対効果、複数人の合意形成に基づく長期間の意思決定 |
インフルエンサーの種類 | ライフスタイル系、美容系、ファッション系、ゲーム系などの個人インフルエンサー、マイクロインフルエンサー、ナノインフルエンサー | 業界の専門家、KOL(Key Opinion Leader)、コンサルタント、CxO層、技術者、著名なビジネスパーソン |
コンテンツ内容 | 製品の体験談、使用感、ビジュアル重視、エンターテイメント性、共感性 | 専門知識、業界のトレンド分析、課題解決策、導入事例、技術解説、ホワイトペーパー紹介、ウェビナー出演 |
主なプラットフォーム | Instagram、TikTok、YouTube、X(旧Twitter)、LINE | LinkedIn、X(旧Twitter)、専門ブログ、業界イベント、ウェビナー、ポッドキャスト |
期待される主な効果 | 認知度向上、購買意欲喚起、ブランドイメージ構築、直接的な売上 | 信頼性向上、リード獲得、専門的知見の提供、商談化、顧客育成、ブランド権威性の確立 |
このように、BtoCとBtoBでは、ターゲット層の特性から、インフルエンサーの選定、コンテンツ戦略、期待する効果まで、多岐にわたる相違点があります。
これらの違いを明確に認識し、それぞれのビジネスモデルに最適な戦略を構築することが、インフルエンサーマーケティングを成功させる鍵となります。
BtoCインフルエンサーマーケティングの具体的な効果

BtoC領域におけるインフルエンサーマーケティングは、消費者へ直接的にアプローチし、購買行動を促すことを目的としています。
ブランド強化と売上効果
BtoCのインフルエンサーマーケティングは、広告感の薄い文脈で従来届きにくかった層にリーチして認知を押し上げ、発信者の個性・ライフスタイル・価値観とブランドが重なることで、親近感と信頼を醸成しイメージを向上させると同時に、実体験に基づく使用感やストーリーで購買意欲を喚起します。
さらに、限定クーポンや割引コード、ECへの直接リンクなどの動線設計で即時購入を促進し、投稿を起点にUGC(ユーザー生成コンテンツ)が広がることで第三者の声が信頼性を補強、認知→検討→購買の移行を後押しします。
新商品ローンチやセール期に合わせた起用は短期売上の最大化にも有効です。
BtoCにおける効果測定のポイント
BtoCインフルエンサーマーケティングの効果を最大限に引き出すためには、適切な指標を設定し、その効果を正確に測定することが不可欠です。
測定カテゴリ | 主なKPI(重要業績評価指標) | 具体的な測定内容 |
認知度 | リーチ数 | インフルエンサーの投稿が、どれだけのユニークユーザーに表示されたか。 |
インプレッション数 | 投稿が合計で何回表示されたか。 | |
ブランド検索数 | キャンペーン実施前後の、ブランド名や商品名の検索数の変化。 | |
エンゲージメント | エンゲージメント率 | いいね、コメント、シェア、保存などの合計数をリーチ数で割った割合。 |
コメント数 | 投稿に対するコメントの量と質。 | |
シェア数 | 投稿がどれだけ拡散されたか。 | |
保存数 | 投稿がどれだけユーザーに保存されたか(Instagramなどで重要)。 | |
コンバージョン・売上 | クリック数(CTR) | 投稿内のリンクがどれだけクリックされたか。 |
ECサイト流入数 | インフルエンサー経由でECサイトへ訪問したユーザー数。 | |
コンバージョン数 | 商品購入、資料請求、会員登録など、目標とする行動を達成した数。 | |
ROAS(広告費用対効果) | インフルエンサーマーケティングに投じた費用に対し、どれだけの売上があったか。 |
これらの指標を定期的にモニタリングし、キャンペーンの目的達成度を評価することで、今後の戦略立案やインフルエンサー選定の精度向上に役立てます。
特に、UTMパラメータを活用することで、どのインフルエンサーからの流入が最も効果的であったかを詳細に分析することが可能となるでしょう。
BtoBインフルエンサーマーケティングの効果を徹底解説

BtoB領域におけるインフルエンサーマーケティングは、BtoCとは異なる特性を持ち、独自の効果を発揮します。
専門家による信頼性向上とリード獲得効果
BtoBでは購入が事業戦略や投資に直結するため、意思決定者は信頼できる情報源を重視します。そこで力を発揮するのが、業界の専門家やKOL(Key Opinion Leader)です。彼らは豊富な知識と実務経験を持ち、発言は専門的で中立的だと信頼されています。
製品の技術優位や課題解決力、導入事例を具体的に解説することで、潜在顧客は安心して検討を進められ、単なる認知ではなく質の高いリード(見込み顧客)獲得につながります。
例えば、ウェビナー登壇、専門メディアへの寄稿、レビュー記事などを通じ、通常の広告では届きにくい高意欲層に深くリーチできます。
BtoBにおける意思決定プロセスへの影響と効果
BtoBの購買はBtoCより複雑・長期で、複数部署の合意が必要です。
インフルエンサーは各段階で有効に働きます。初期は業界トレンドや市場インサイトで課題認識と解決の方向性を示し、比較検討では競合との差別化や導入ROIを専門家視点で客観評価。
特に、技術性が高い・高額なソリューションでは、インフルエンサーによる詳細な解説や実証が社内の説得材料となり、購買担当者や決裁者が確信を持って判断しやすくなります。結果として、購買プロセスの加速にも繋がるでしょう。
顧客育成と既存顧客との関係強化への効果
BtoBのインフルエンサーマーケティングは、既存顧客の関係強化や育成(ナーチャリング)にも有効です。
インフルエンサーが企業の製品やサービスの新しい活用法・アップデート・業界動向の発信で製品理解と価値の再認識が進み、利用率・満足度が向上します。
また、インフルエンサーを介したQ&Aやユーザーコミュニティでの交流は疑問解消と顧客ロイヤルティ向上に寄与します。
さらに、成功事例やベストプラクティスの共有が活用深化を促し、アップセル(上位製品への移行)・クロスセル(関連製品の購入)の機会を創出。
結果として、顧客ライフサイクル全体でのエンゲージメントを高め、長期的な関係構築を後押しします。
BtoBインフルエンサーマーケティングの費用対効果を最大化する戦略
BtoBインフルエンサーマーケの成功とROI最大化には、闇雲な起用ではなく目的とKPIを先に定義した戦略設計が必須です。
まず、ターゲット顧客とインフルエンサーのオーディエンス(役職・業種・企業規模)が合致しているかを精査し、単なるフォロワー数ではなく意思決定者・実務責任者への到達を重視します。
次にコンテンツ戦略です。BtoBは専門知識と課題解決が鍵です。製品紹介に終わらせず、データに基づく解説や課題解決型コンテンツをウェビナー・ホワイトペーパー・ケーススタディ・デモストレーションで届けます。
最後に効果測定。認知度だけでなく、具体的なビジネス成果に直結するKPI(重要業績評価指標)例えば、リード獲得数と質、商談化率・成約率、サイト流入、エンゲージメント率を設定し、継続的に追い、分析→改善を回します。
以下に、費用対効果を最大化するための主要な戦略要素をまとめました。
戦略要素 | 具体的なアクション | 期待される効果 |
適切なインフルエンサー選定 | 業界における専門性、信頼性、影響力を重視ターゲットオーディエンスとの合致度を詳細に分析過去のコンテンツやエンゲージメント実績を確認 | 質の高いリード獲得製品・サービスの信頼性向上ターゲット層への効率的なリーチ |
効果的なコンテンツ戦略 | 課題解決型の専門コンテンツ(ウェビナー、ホワイトペーパー、事例)製品の技術的優位性やROIを具体的に示すインフルエンサー独自の視点や経験を盛り込む | 潜在顧客の深い理解と関心喚起購買意欲の向上意思決定プロセスの加速 |
明確なKPI設定と効果測定 | リード数、リードの質、商談化率、成約率、Webサイト流入数、エンゲージメント率などを設定各キャンペーンの成果を定期的に分析A/Bテストや改善策の実施 | マーケティング活動の最適化ROIの明確化と向上予算配分の効率化 |
長期的な関係構築 | インフルエンサーとの継続的なパートナーシップ顧客との長期的なエンゲージメント戦略コミュニティ形成や顧客育成プログラムの活用 | 安定した情報発信と信頼の構築顧客ロイヤルティの向上ブランド価値の持続的な向上 |
これらの戦略を複合的に実施することで、BtoBインフルエンサーマーケティングの真の価値を引き出し、持続的なビジネス成長に貢献することが期待できます。
BtoBインフルエンサーマーケティングで効果を出すための実践ポイント

BtoBインフルエンサーマーケティングを成功させ、期待する効果を最大限に引き出すためには、戦略的かつ実践的なアプローチが不可欠です。
適切なインフルエンサー選定の重要性
BtoBインフルエンサーは、単なる情報の拡散者ではなく、業界の専門知識を持つ「オピニオンリーダー」や「信頼できるアドバイザー」としての役割を担います。
ターゲット企業の意思決定者層に響くメッセージを届けるためには、深い専門知識と経験、そしてその発信内容に対する一貫性が不可欠です。
選定においては、以下の要素を総合的に評価することが重要です。
- 専門知識と業界経験対象とする製品やサービス、業界に関する深い理解があるか。
- ターゲットオーディエンスとの関連性インフルエンサーのフォロワーが、自社のターゲット企業や意思決定者層と重なっているか。
- 信頼性と権威性業界内でどれほどの信頼を得ており、発言に重みがあるか。過去の発信内容に誤りや偏りがないか。
- エンゲージメントの質単なるフォロワー数だけでなく、コメントやシェアなど、質の高いエンゲージメントが生まれているか。
- 発信内容の一貫性自社のブランドイメージやメッセージと矛盾しない発信をしているか。
これらの基準に基づき、綿密なリサーチとコミュニケーションを通じて、最適なインフルエンサーを選定することが、BtoBインフルエンサーマーケティングの成功を左右します。
効果的なコンテンツ戦略とプラットフォーム活用
インフルエンサーの選定と同様に、どのようなコンテンツを、どのプラットフォームで発信するかが成功の鍵を握ります。長期的な信頼関係の構築と、課題解決への貢献を意識したコンテンツが求められます。
BtoB向けコンテンツの種類とプラットフォームの選び方
コンテンツの種類 | 特徴と効果 | 適したプラットフォーム |
ウェビナー・オンラインセミナー | 専門家が特定のテーマについて深く解説。リード獲得や専門知識の提供に優れます。 | Zoom, YouTube Live, 自社サイトのウェビナーページ |
ホワイトペーパー・eBook | 業界の課題やソリューション、調査結果を詳細にまとめた資料。リードマグネットとして活用。 | 自社サイト、LinkedInのドキュメント共有機能 |
ケーススタディ・導入事例 | 自社製品・サービスの具体的な導入効果や成功事例を紹介。信頼性と説得力を高めます。 | 自社サイト、専門メディアへの寄稿 |
専門記事・ブログ記事 | 業界トレンドや技術解説、ノウハウなどをインフルエンサーが執筆・監修。SEO効果も期待できます。 | 自社ブログ、インフルエンサーのブログ、LinkedIn Pulse |
対談・インタビュー動画 | インフルエンサーと自社担当者による対談。専門的な知見を共有し、人間味のある魅力を伝えます。 | YouTube, LinkedIn, 自社サイト |
プラットフォーム選定は、ターゲットオーディエンスが普段情報収集に利用しているチャネルを優先することが重要です。ビジネスパーソンが多く利用するLinkedInやTwitter、専門性の高い動画コンテンツに適したYouTube、そして業界特化型のオンラインメディアなどが主な選択肢となります。
長期的な視点での関係構築と効果測定
BtoBインフルエンサーマーケティングは、単発のキャンペーンで終わるものではなく、インフルエンサーとの長期的なパートナーシップを築くことが成功の鍵となります。
また、その効果を適切に測定し、継続的に改善していくプロセスも不可欠です。
インフルエンサーとの関係構築とBtoBにおけるKPI設定
インフルエンサーとの関係は、単なる依頼者と受託者の関係を超え、共通の目標を持つビジネスパートナーとして捉えるべきです。相互理解を深め、信頼に基づいた関係を構築することで、より本質的で効果的なコラボレーションが実現します。
- 定期的なコミュニケーション進捗状況の共有、フィードバックの交換、市場の変化に関する情報交換など。
- 共同での戦略立案コンテンツテーマの選定、発信タイミングの調整など、インフルエンサーの専門知識を活かした共同作業。
- 成果の共有とフィードバックキャンペーン終了後には、成果を共有し、次回の改善点について建設的な議論を行います。
BtoBインフルエンサーマーケティングの効果測定においては、BtoCのような直接的な売上だけでなく、より多角的な視点からKPI(重要業績評価指標)を設定することが重要です。
よくある質問
Q. BtoBでもインフルエンサーマーケティングは効果ありますか?
あります。専門家(KOL/SME)の信頼を借りて、認知→信頼→検討→商談の各段階を後押しします。特に技術的・高単価商材で、質の高いリード創出とナーチャリングに有効です。
Q.BtoCとBtoBのインフルエンサーマーケティングでは何が違うのですか?
意思決定者が複数・検討が長期・情報精度が重視されます。フォーマットはレビュー投稿よりも、ウェビナー共催/技術解説/ケーススタディ/専門メディア寄稿など「学び」のある形が中心です。
Q.BtoBのインフルエンサーマーケティングではどんなコンテンツが効きますか?
課題→解決→成果を示す「実務に効く」内容。
例:ベンダー比較の視点、ROIの考え方、導入プロセス、失敗回避チェックリスト、ライブQ&A。形式はウェビナー、ケーススタディ共著、製品デモ、ホワイトペーパー共同制作、LinkedIn記事、ポッドキャストなど。
まとめ
この記事では、インフルエンサーマーケティングにおいてBtoCとBtoBの違い、インフルエンサーマーケティングがBtoBでも有効であることを解説しました。
日常で目にするBtoCビジネスの選定基準をそのまま当てはめると、期待した成果につながらない恐れがあります。
BtoBでは、オーディエンス適合と専門性を重視し、長期視点でデータに基づく検証・改善を繰り返すことが肝心です。正しい設計で取り組み、インフルエンサーマーケティングを自社の成長に結び付けましょう。
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